column vol.2「相談する力」
悩みを相談することに抵抗を感じる、という人は大勢おられるのではないでしょうか。平成14年に内閣府が行った「青少年に関する調査」では、15歳以上の約7割が悩みを持っているというデータがあります。
その反面、悩みや心配事をカウンセラーに相談をすると回答した人は1割未満でした。悩みを話しにくい理由には、話すことでつらいことを思い出す、相手からの評価が下がると思い込むなど、さまざまな理由があると思います。しかし、悩みや心配事を一人で抱え込み過ぎるとイライラしたり不安になったり、体調を崩してしまうことにつながってしまいます。
第三者に話すことのメリットとして「自分では気が付かなかったことに気が付く」ということがあります。相談の場では、継続して対話しているうちに自分の思い込みや偏った考えに気付いたり、ポジティブな可能性にチャレンジしていくことにつながったりすることがよくあります。
相談するカは、社会に出るまでに身に付けておきたい力の一つですが、自然と身に付くものではありません。また自分一人の努力で身に付くものでもありません。身近な人が小さなサインを見逃さずに声を掛けることが相談できるきっかけとなり、結果として「相談してよかった」ということにつながります。
こうしたことを小さいころから経験していくことが大切です。一方、相談を受けるときには、「相談者の思いを受け止め、とにかくしっかりと話を聴く」ことが大事です。悩みや葛藤は、自分を成長させるきっかけともなり、「相談してよかった」と思える体験は、他者への信頼感や自己肯定感を育むことにつながります。
相談する側は少しの勇気を出し、相談される側は相手の話に耳を傾け、その人を理解しようとする誠実な対応を心掛けたいものですね。
文・臨床心理士
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