十人十色

column vol.5「自己肯定感の育ち」

近年、「どうせ自分は…」、「何をしたところで…」と無気力な状態や、自信を持てなくなっている子どもや大人の姿が目立つように感じます。平成25年度「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」でも、日本の若者が諸外国と比べて「自分自身への満足感」が明らかに低いという結果が出ました。

私たちが自分自身をかけがえのないものと感じ、安心して自分を表現したり、自分と向き合ったりするためには、「自己肯定感」の育ちが必要といわれています。自己肯定感とは英語の「セルフエスティーム(self-esteem)」を日本語に訳したもので、自尊感情や自尊心といわれることもあります。自己肯定感の定義はさまざまですが、広くいえば「自分自身の短所も長所も含めて、自分を大切にし、自分が自分であって大丈夫、と思える感情」といえます。

この自己肯定感は、小さいころから褒めて成功体験を積みさえすれば育つというものではありませんし、いくら成功していても本人の求めるものと合っていなければ自己肯定感は育たないともいわれます。自己肯定感の育ちは、自分の存在が丸ごと承認されたり肯定されたりした経験や、人と人との関係性の中でゆっくりと育まれるものと考えられます。

本年度の発達支援講座では、心理臨床家の高垣忠一郎(たかがきちゅういちろう)さんを迎えて、子どもや若者の自己肯定感、その育ちについてお話をお聞きします。子どもや若者だけの問題ではなく、大人の自己肯定感を振り返る機会としても、ぜひご参加ください。

文・臨床心理士

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