十人十色

column vol.12「子育て、親育ち」

子育て期において、子どもの行動が理解しづらいことがありませんか。しかし、その行動には子どもなりの願い、価値観がある場合が多いようです。昨年12月に開催した発達支援講座「子育て、親育ち」では、講師の滋賀大学教育学部教授 白石恵理子さんが、こんなお話をされました。

ある子の話です。この子は忘れ物が多く、母親もそのことを悩んでいました。特に傘となると、あちこちに忘れてきました。口すっぱく注意もしました。ある日、子が学校から帰ってくると、傘を持って帰ってきていました。母親は「今日は忘れてこなかった」と喜びましたが、代わりにランドセルを忘れてきていました。子は「しまった」とつぶやきました。

母親は考えました。(ランドセルは忘れた。でも、この子なりに傘を忘れないようにした結果なのではないか)と。 ひょっとして、この子はがんばっている、工夫している、考えているのではないか、と想像してみる。そこから気付くこと、分かることがあり、認めることができる。また自分自身もほっとする。さらには、子を「いとおしく」感じることがあるのだそうです。

白石教授は、「たとえ不器用であっても、時間がかかっても、子ども自身が働きかけ、結果を感じ取るプロセスの中に掛け替えのない手応えがある。その手応えが子どもを育てていく」、また、「“受け入れる”のではなく、“受けとめる”という姿勢が大切」とも話されました。

子どもの行動全てを無条件に受け入れなければならないのではなく、「受けとめる」という一呼吸置くような感覚でよいのかもしれません。そうすることで少しは楽に感情や気持ちの整理がつき、子どもと一緒に次の展開に向き合いやすくなるのではないでしょうか。

日ごろ何かと周囲に振り回されがちですが、少しの時間でもよいので、子と親が「寄り添う」過ごし方をしてみてくださいね。

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