十人十色

column vol.204月2日は世界自閉症啓発デー

毎年4月2日は「世界自閉症啓発デー」です。国連総会で決議されてから今年で13年目を迎え、この日は自閉症を理解してもらう取り組みが全国各地で展開されます。しかし、13年経った今も自閉症についての間違いや誤解があります。その一つに、自閉症は自分の殻に閉じこもるという誤解があります。

自閉症とは、他人の気持ちを想像することや、状況に合わせて言葉を使ったり人とやりとりしたりすることが難しい、といった特性のために「支障をきたしている状態」のことを指します。また、特性があれば「障がい」であるという誤解もあります。

精神疾患の分類と診断基準である「DSM-5」では、自閉症の診断には、その特性が「社会や職業、その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている」という項目も満たす必要があるとされています。例えば、排泄という生理現象が自分以外の人にはなく、家以外にはどこにもトイレが設置されていないと考えてみてください。そうなると、学校に行くこと、外で長時間働くこと、遊びに出掛けることが困難になります。

排泄という生理現象を周囲から理解されず、冷たい言葉を掛けられることもあるかもしれません。そうして生活に支障をきたし、苦しんだとき、その状態は本人にとっての「障がい」となります。つまり、障がいとは「特性そのもの」ではなく、「環境との相互作用」で生まれるものなのです。

すぐに環境を調整するのは難しいでしょう。まずは特性ではなく、そこに隠れた“苦しみ”を想像してみるところから自閉症への理解を始めてみてはいかがでしょうか。

文・臨床心理士

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