
column vol.47「知っている」から「理解する」へ
「発達障がい」という用語は、1963年アメリカで知的障害者への包括的な支援をめざして作られた法案で使われた「Developmental Disabilities」(ディベロップメンタル・ディスアビリティーズ)という法律用語から誕生しました。まだ使われ始めて60数年しか経っていませんが、今では「発達障がい」の認知度は高くなり、多くの人が用語(言葉)を知っています。
日本で発達障がいという言葉が使用されるようになったのは、1970年代に入ってからで、法律用語として初めて使用されたのは2005(平成17)年4月1日施行の発達障害者支援法からです。現在では、日常的に「発達障がい」という用語が使われ、社会での認知度は高くなっていますが、「理解」という面ではどうでしょうか。
中国の詩人 厳羽(げんう)の「滄浪詩話(そうろうしわ)」に出てくる「一知半解(いっちはんかい)」という言葉があります。この言葉の意味は「知ってはいるけれど、十分に理解はしていない。」という意味だそうです。「知っている」と「理解している」とは意味合いが違ってきます。
以前、日本の発達障がい者支援の第一人者といわれている先生が「正しく理解を深めることで、適切に具体的な支援ができるようになります。」と話されていたことがありました。知っていることはもちろん大事なことですが、そこから理解へと深めていき、一人ひとりに応じた適切で具体的な支援ができるように、社会全体が発達障がいを理解できるようになってほしいと願っています。
文・ふれあい相談発達支援センター長
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